皆さん、こんにちは。
思春期の子どもたちにとって「秘密とウソ」は、とても重要なテーマです。
親に秘密をもてるようになるということは、子どもが親とは異なった自我を持ち、親と自分のあいだに「心の壁」を作るということを意味しています。要は、親に対して秘密を持つことは、親離れへの第一歩になるということです。
しかし、ほとんどの親や学校の先生は、小さいときから「嘘をつくのは悪いことだ」「なんでも正直に言いなさい」と教えていきます。
子どもも小さいときは、自分が悪いことをして親に隠しても、みんな親にばれてしまい、「大人にはわかってしまうんだ」と思って、嘘がつけない段階があります。
ところが、正常な心の発達を遂げて、中学、高校の頃になると、子どもはみんな親に内緒ごとを持つようになります。
健全な秘密とウソ
ここで大切なことは、健全なウソや秘密と、ちょっと逸脱したウソや秘密の持ち方とを区別することです。
非行や万引、不良集団に入ったりとか、子どもたちがそういうことをするときには、むしろ親に知られない世界をうまく持てないために、そういうところに行ってしまう場合がしばしばあります。
健全な秘密とかウソというのは、そういう難しいことではなくて、自分が感じたり、思ったり、昼間学校であったりしたことを全部、右から左に親に話さないですむようになるということです。
親側からするとあまり学校での出来事や友人関係について話してくれないので、「一体この子は何を考えているんだろう?」などと不安になってきますが、これは子どもの心が健全に育ってきているという証拠なのです。
こうやって秘密をもつことを、英語ではバウンダリー(boundary)といいます。「境界線」という意味です。
このバウンダリーを一つひとつ作っていくときに、秘密というのはとても重要な機能を果たしているのです。
思春期のとき、子どもは誰に何を話し、何を話さないかを、だんだんと身につけていきます(☜ これを社会性といいます)。
そしてこれを身につけていくところで、その子の「自己(自分)」というものが育っていくわけですね。
逆に、思春期に入っても、親にあれやこれやと何でも打ち明けている子どもの場合、「自己」が育っていないということになるので、常に親に後押しをしてもらわないと自分で決断できなかったり、物事をすぐに他人や周囲のせいにしたりと、基本的なスタンスが受け身にならざるを得なくなってしまうのです。
秘密を持つことは成熟の証
中学生くらいに第二次性徴期といいますが肉体的な変化が起こり、その結果、男の子、女の子という「自己」ができていって、そのあいだに親との間の境界線がだんだんと出来上がっていきます。
ここをまずしっかりと持つことで、「男」、「女」としての慎みとか、恥や遠慮などが身についていきます。
もう一つ親離れに関して大事なことを付け加えておきます。
親離れというのは、子ども時代に出来上がっていた「うちのお父さん、お母さんほど、いいお父さん、お母さんはいない。いちばん立派で素晴らしい!」という思い込みが変化することでもあります。
「お父さん、お母さんもただの人」というふうに見えてくる、このイメージの変化が親離れの一つだということを覚えておいてください。(子どもの秘密に対する接し方のコツはこちら)。
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