子どもが思春期に入ってくると、突然親に背を向け始め、何を質問しても「わからない。別に関係ない・・・うるせぇ!」など反抗的な態度を表し始めてくることがあります。
突然のことで戸惑ってしまう親御さんもいるかもしれませんが、これはとても心が健全に育っているという証拠でもあります。
今回は、思春期における一番の課題となる「親離れ」について解説していきたいと思います。
秘密のポケットの意味
発達心理学では、「親離れ」は、子どもが親に対して「秘密のポケット」を作っていくことを意味します。
子どもが大きくなってきたら、秘密を持つようになるのは当たり前なのですが、私が出会ってきたお母さんの中には、子どもが作った「秘密のポケット」をすべて暴いて、いつもまでも把握していようとするお母さんがいました。
たとえば、子どもの部屋に勝手に入って机の引き出しをあけて、わざわざ奥の方に隠してある日記を取り出して読む、ということを平気でやる親がいます。
子どもの手紙を整理して、彼氏や彼女からの手紙を「これはいらない!」といって勝手に捨ててしまう親もいます。
中には、デートの時間にまで口を出してくる親もいます。
「そろそろ○○君との約束でしょ?早く支度しなさい!」などとデートのスケジュールまでしっかりと把握している親もいます。
「性」の欲動が「自分」を形作っていく
子どもの持つ「秘密」の中核になるのは「性」の問題です。
ですから、先に挙げたお母さんの例のように、子どもの性的領域に無神経に立ち入ってしまったり、安易に触れるのは最も危険なことなのです。
心の問題を抱える人の多くは、子ども時代に「性」に関する悲惨な体験や大きな心の傷として残るようなショッキングな経験をしています。
この「性」の欲動やそれに伴う行動が秘密のポケットに詰まっていき、これが「自分」という存在をつくり、親から離れていく原動力になっていきます。
そしてこの時、「自分は親から受け入れられている」「自分は世間で通用する」という根拠のない自信(根拠のない自信参照)のある子は、この秘密のポケットをきちんと持つことができるのです。
一方で、根拠のない自信を持てなかった子どもは、親に対して秘密を持つことに罪悪感を抱きます。
要は、大人の姿に成長していく自分を受け入れることができないのです。
思春期に入り問題が表面化してくる子どもの心理的背景には、こういったメカニズムが隠れているのです。
思春期に入り、親に隠し事をするようになったら、その秘密を暴き、いつまでも何もかも把握していようとするのではなく、「うちの子も成長してきたな」と素直に喜んであげて欲しいと思います。
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