皆さん、こんにちは。
私はこれまでに思春期真っ只中の子ども達と出会い、そして数々の悩みを聞かせてもらってきました。その中で、思春期特有の孤独感というものが存在することに気が付いてきました。
「何となく寂しいな~」とか「こんな自分でこの先やっていけるのかな~」などという感覚です。
この孤独感は、一体どこから生まれてくるのでしょうか?
寂しさは親離れしている証拠
個人的な意見になりますが、この孤独感を味わうことが出来る子どもは、親離れがそのぶんだけできているということを意味しているのではないかと思っています。
人間にとってやっぱり大事なことは、思春期までは愛と憎しみの「愛」のほうで、「自分の親が世界一素晴らしい!」と思い込んでいることですね。
これは客観的には幻想かもしれませんが、そういう幻想を抱くことは、人間の心の発達にとってとても大事なんですね。
でも、今度は逆に、中学生くらいになっても、「世界で一番素晴らしいのは自分の親だ!」と思っていると、それはそれで問題で、親離れが出来なくなってきます。
順調に成長していけば、子どもの方が親をだんだん理想化しなくなってきます。
親のリアリティというものを見るようになるので、多くの場合、親に幻滅してきます。
幻想から幻滅へ
「幻想」が壊れて、親に「幻滅」をしていくという流れが正常な発達なのです。
だからこの頃になると子ども達は、幻滅した親に向かって、様々な不満や苛立ちをぶつけていきます。これが「反抗期」というものですね。
そして、今までのように日常生活で起こったことなどを全て親に話さなくなります。
つまり、親に「秘密を持つ」ようになります。秘密を持つということが、親から離れた「自分」というものを持つことなんですね(詳しくは『思春期の秘密とウソ』を参照)。
この時に、「親と自分は違うんだ」「世界で一番だと思っていた親は、実はそうではないんだ」という現実を直面しなければいけなくなるので、ここに漠然とした思春期特有の「寂しさ」が襲ってくるわけです。
この時に、何でも知っていないと心配で仕方がないという親御さんがいますが、これは要注意です。
子どもが親に必死な想いで反抗して作り上げた子どもの世界に土足で入り込んでいくことになってしまい、子どもは親との精神的な距離が保てなくなってしまうのです。
こうなってしまうと結果的に親離れが出来ない精神状態に陥ってしまうのです。
思春期の親子関係は、いないいないばあ!
精神分析では、思春期の親子関係は「いないいないばあ!」みたいなものと言われています。
ちなみに、「いないいないばあ!」という遊びには「不安」を巧みに使っている心理が隠れています。
親から離れてしまって「オレはオレだ!私は私だ!」というのが「いない」とすれば、また困った時には「ばあ」と親を頼りにして戻ってこられる。
子どもが自由に、親を頼りにしたいと思って現れたときに、受け止めてあげる。
子どもが親から見えなくなったとしても(すごく不安ですが)、じーっと耐え続ける。
自分から見えなくなって、何をやっているかもわからない、それをじーっと耐えて、また戻って来て、必要なときに助けてあげる。
それまで、じーっと耐える能力が親として、思春期の子どもと向き合う上で必要なことなのかもしれません。
コメント