皆さん、こんにちは。
今、学生の間で流行っているものの一つに『SNSの裏アカウント』というものがあります。
本当の自分を隠し、別人になりきって、ツイッター、インスタグラム、FacebookなどのSNSを利用して情報を発信するというものです。
女子高生の約7割が、3つや4つ、中には10を超える裏アカウントを持っているそうです。
大人から見れば、「何のためにそんなことを?」と疑問に思うかもしれませんが、その行動の裏側には、現在の子供を取り巻く複雑な事情と心理が隠れているようです。
裏アカウントを作る理由
わざわざ本当の自分を偽ってアカウントを作る理由は、
- 別人になりきることで、本音と建前を使い分ける
- 人目を気にせず、趣味に没頭できる
- 日頃のグチや他人の悪口を言うなど、ストレスの発散
など、様々なものがあります。
中には、趣味を公表することで横のつながりができるなどメリットのある使い方もあるようですが、やはり多いのは、日頃口にできない本音を言うことでスッキリするという「ストレスの発散」としての役割のようです。
昔から思春期の子供たちは、暴走族や不良グループ、援助交際、リストカットなど、ある種の自傷行為に走ることで思春期特有の葛藤や不安、ストレスの発散をしてきた傾向がありますが、この裏アカウントを作る行為もそれに近い意味合いを含んでいるのかもしれません。
しかも、技術の発達に伴い、より巧妙で見えにくいやり方が登場してきたようです。
違う自分になりたいという願望はある程度なら誰でも持っていますが、いくつもの裏アカウントを持ち、いくつもの自分を作り、いくつもの仮面をかぶるということは、結果的に本当の自分を見失ってしまい、苦しむのではないかと、とても心配に思います。
裏アカウントを作ってまでも、求めているものとは?
SNSのほとんどがそうですが、裏アカウントを作ってまで、子供達が求めているものは、「承認」だと思います。
一番欲しいのは「親からの承認」ですが、それが手に入らないので、他者からの承認を求めているように見えます。
逆に言えば、裏アカウントを持たない約3割は、親からしっかり受け入れられているので、わざわざ自分を偽ってまでアカウントを作る必要がないのです。
“いいね”がたくさんあるのは、たくさんの人からの承認を受けたということになります。
Youtubeなどで反社会的な行動や過激なことを発信したりする一部の人たちも“いいね”がもらえなくても、“良くないね”でもいいから、人からの関心を集めたいのが本音だと思います。
悪口を言って、他人を傷つけることは、結果的に非難されて炎上したり、友達を失うことになりかねませんが、「炎上したらアカウントを消去すればいいや」、「悪口がばれたりしたらその関係を切ればいいや」と、簡単にリセットできると思っている人もいるようです。
悪気もなく、後先考えず軽い気持ちで行うところも、学生たちの自傷行為に似ていると思います。
それくらい、承認欲求が満たされておらず、自分を大切にできない人が多いということなのかもしれません。
親からの承認の大きさ
このように、子供たちは裏アカウントを作ってまで、必死に「いいね」を集めています。
一方で、親からの承認の言葉はたった一つで、数万の「いいね」に値するほど価値があります。
たった一言「お前はそのままでいい」と言われることで、子供たちは無駄な努力をする必要がなくなるほど、親の存在は絶大なのです。
お父さんとお母さんには、子供にとっての親の存在の大きさをしっかりと理解しておいて頂きたいと思います。
「自分がどんな親か」を気にする親はいても、それを気にする子供はいません。
子供にとってはどんな親でも、大きな存在なのです。
中には、「一度言ってみたけど、子供の反応がいまいちだったのでやめました」というお母さんがいますが、こう想像してみてください。
いつもは無口でそっけない旦那さんから突然「愛してるよ」と言われたら、その場で素直に反応できるでしょうか?
おそらく突然のことに驚き、嬉しいけれども、恥ずかしくて「何言ってるのよ!」と返すのが精一杯というところではないでしょうか。
しかし、その後も何度も言われたとしたらどうでしょう。
「ありがとう」「私もよ」「私も愛してる」とだんだん上手に素直に返せるようになるでしょう。
子供の反応もまったく同じです。
一度でも伝えることができたお母さんはもちろん素晴らしいですが、子供達が素直に反応できるようになるには、何度も何度も浴びせることが必要なのですね。
子供にとって親の存在は大きく、親からの一言は数万の「いいね」に値することを是非覚えておいてください。
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