皆さん、こんにちは。
『ヒステリー』という言葉を聞いたことがあると思いますが、一般的には“怒りっぽいこと”や“すぐに感情的になって、わめいたり暴れたりする”というようなイメージを抱くことが多いかもしれません。
実は、本来のヒステリーというのは、れっきとした医学的疾患で、簡単に言うと『不安などの心理的要因で、身体に症状が出たり、異常な行動をしてしまう』精神症状なのです。
気を失って倒れる、立てなくなる、歩けなくなる、声が出なくなる、目が見えなくなる、耳が聞こえなくなる、などの感覚器官(目・耳・運動機能)の障害などが起こる神経症です。
しかし、身体に症状が出たり、神経症の診断までは行かなくても、一般的な意味での「ヒステリックな母親」は意外と多いようです。
今回は、これらのヒステリックな母親のもとで、子どもたちはどのように育つのかを考えてみたいと思います。
ヒステリックな母親とは?
多くのご相談を受ける中で、たびたび登場してくるのがヒステリックなお母さんです。
彼女たちの特徴としては、
- 不安が強い。(「今のままでいい」と現状を受け止める力が弱いため、先走って口を出し手を出す)
- 突然感情が変化する。何がキッカケになるかは誰にも分からない。
- 相手を自分の思い通りにコントロールしたい。思い通りにいかないとパニックを起こし、感情的になり泣いたり怒ったり、物を投げたりする。(感情のコントロールができない)
- 他責傾向が強い「私は正しい、あなたが悪い!」
- ヒステリーモードに入ったら周りが見えなくなり、まったく聞く耳を持たない。
実は、感情がコントロールできないのも、他人を責める傾向が強いということも、自分の中にその感情や問題を抱えられないということであり、内面がとても未成熟ということなのです。
突然泣き出したり、怒ったり、というのも、いわば赤ちゃんと同じような行為ですね。
ヒステリックな母親に育てられた子どもたちは?
では、ヒステリックな母親のもとで、子どもたちはどうやって成長していくのでしょうか。
- いつ豹変するか分からない母親が怖い。
- 本来安心を感じるはずの家庭が、落とし穴と地雷でいっぱいの危険地帯と化しているので、子どもはいつも自分の気持ちを我慢する。
- 母親が突然怒りだす、わめき散らす、物を投げるなどの理由が全く分からないので、常に母親の顔色や機嫌をうかがいながら生活する。
- 少しでも逆らえば、「お前が悪い!」と罵声を浴びせられるので、なるべく母親の言葉通りに行動することが一番の安全策だと学ぶ。
- 母親の感情の暴走が「母親の都合」だとは考えられないため、「自分が悪い」と思い込む。
- 青年期ごろから、「私はこんなに我慢しているのに誰もわかってくれない」という感情が育ち、「一番の被害者は私だ」という被害者意識から「こんなことになったのは親(相手)が悪い」と他責傾向が高まり、ヒステリックになっていく。
常に不安と恐怖にさらされて、我慢してきた子どもも成長するにつれて、母親と同じようなヒステリックな性質を身につけてしまいます。
子どものヒステリックも⑥くらいまで来ると家族は疲弊し、家庭内は荒れ果ててしまい、もう家族の力だけではどうすることもできない状態になります。
やはり、ヒステリックな性質というのは世代間連鎖を生み、子どももヒステリックな性格になる可能性が高いと言われています。
トイレットトレーニングの落とし穴
中でも、子どもの心の成長に強い影響を及ぼすのが幼少期の「トイレットトレーニング」です。
赤ちゃんのオムツをはずす練習、トイレットトレーニングは、母親のヒステリックな性質が表れやすいように思われます。
一見するとなんの関係もないように見えますが、自分の排泄をコントロールすることを覚えるトイレットトレーニングにおいて、自己コントロールか、他者コントロールを受けるかによって、そのあとの人格形成が大きく変わってくるのです。
不安が強くヒステリックな母親が、子どものトイレットトレーニングを自分の思い通りに進めようとして、厳しすぎるトレーニングを課すことで、子どもの中に自己決定能力や自己責任能力が育たなくなり、大人になっても未成熟で幼いという方たちも少なくありません。
自分が受けたトイレットトレーニングに対して、明確な記憶は残っていないことが多いと思いますが、他者からの支配という感覚だけがずっと記憶され続けるのです。
大人になって、不都合が生じ、問題を訴え始めますが、それらを丁寧にひも解いていくと、トイレットトレーニングがとても厳しかったというケースは珍しくありません。
トイレットトレーニングは、最も初歩的かつ重要な自己コントロールを学ぶべき機会で、子どものペースでなされることが理想的です。
そこで自己コントロールを学ぶことができなかった場合に、この時期で心の成長が止まってしまうことがあるので要注意です。
ヒステリーは家系の問題
このように、問題を抱える方たちがヒステリックな母親に育てられたというケースは少なくありません。
そして、その母親のもとで恐怖と罪悪感に縛られ、一生懸命に母親の言うことを聞いて、幸か不幸か、母親の望みをかなえ続けることができてきた優秀な「いい子」ほど、問題が深刻になってから明るみに出てきます。
そういうケースほど難しく、認知の歪みを修正していくのに時間・お金と気力・労力がかかるのです。
しかし、一概に母親のヒステリックな性質を責めても問題は解決しません。
これらの母親たちもまた、いつも我慢していたり、大きなストレスにさらされていたり、ヒステリックな母親に育てられていたり、「やりたくてやっている」わけではなく、どちらかと言うと「分かっていてもやめられない」状態にいて、心に問題を抱えていることが多いのです。
ヒステリックは母親だけの問題ではなく、家族全体の問題、ひいては家系の問題なのです。
自分の中にヒステリックな性質を感じたとき、または自分の親や子に同じような性質を見つけたときが、この問題に取り組むチャンスです。
一人では難しいようならば、是非専門家に頼ってください。
家族の中の誰か一人でも、覚悟を持って外へと助けを求めない限り、この連鎖を断ち切ることは難しいでしょう。
皆さんのご家族が、これ以上苦しまないよう、本来のラクなおやこ関係へ戻れるように、サポートさせていただきます。
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