目 次
皆さん、こんにちは。
シリーズ第7回は、『いじめ被害にあった子ども達への親のNG対応とOK対応』についてです。
いじめ被害にあった子ども達への親の対応をNG例とOK例で具体的に見ていきましょう。
親のNG対応
いじめ被害にあった子ども達への親の対応として好ましくないのは、親主導の対応です。
① 話を聞かずに一方的に決め付ける
多くの親御さんがやりがちなのは、「いじめにあう」という衝撃的な事実を目の当たりにして、親の感情を優先するあまり、子どもの話をよく聞かず子どもの気持ちを置き去りにするという対応です。
親自身が受けたショックや怒りに身を任せ、
- 子どもの話をよく聞かず、誰かが悪いと決め付ける
- すぐに学校に連絡して関係者を問い詰める
- いじめた子の家に直接連絡する・家に行く
子どもは話を聞いてもらえないので気持ちを処理できず、また自分の力で人間関係を形成・修復するチャンスを奪われ、健全な成長を妨げられかねません。
② 子どもを責める、存在を否定する、他の子と比べる
我が子がいじめられたという事実が受け止められない親御さんは、
- 「お前が悪いからだ、お前にも非がある」
- 「負けるな!やられたらやり返せ」
- 「いじめられたのはお前が弱いからだ、もっと強くなれ」
- 「他の子はいじめられないのに、どうしてあなただけ?」
などと、子どもの側に理由を探し始めます。
これは親が自分の不安を抱えられないからなのですが、中には、子どもが弱いからいじめられると思い込み、子どもの意見も聞かず格闘系の習い事に無理やり通わせたりする方もいます。
これらの対応では、子どもは「自分はこのままではダメなんだ」という否定的なメッセージを受け取ることになりかねません。
③ 見てみぬフリ、無関心
中でも最も子どもたちを追い込んでしまう対応が、親が無関心であることです。
- 「そんなこと気にするな、さっさと忘れろ」
- 「お前が自分で何とかしろ」
- 「親(先生)に迷惑をかけるな」
- 「どうでもいい」(無視)
このような姿勢・対応は、本来子どもが持っている「自分が悪い」という自責感を更に強くさせ、「自分のことなんてどうでもいい」という自己否定感を強く植えつけてしまうことになります。
結果、自分を大切にすることができなくなってしまい、健全な自己を形成することができずに、その後の人生でも苦しむことになりかねません。
親のOK対応
いじめを受けた子ども達への親として好ましい対応・子どもの気持ちがラクになる対応は、子ども主導の対応です。
① 話を聞いて、気持ちを受け止める
何が起きたのか、どんなことを言われたのか、されたのかを子どもが言える範囲で聞き出し、そのときにどう思ったのか、何を感じたのかを受け止めます。
- 「そんなことがあったのね、つらかっただろうね」
- 「それは、イヤだったね、苦しかったね」
この作業はつらい体験を思い出すことになり、傷付いた子どもにとっては苦しいものになりますが、膿を出しきらなければ傷が癒えることはありません。
② 責めない
- 「それは、君が悪かったわけじゃない」
- 「君に原因があったとは思わない」
- 「君はそのままでいい」
いじめられた側に特定の要因があることはほぼないので、「子どもに原因があったわけではない」「何も変える必要はない」ということをはっきりと伝えましょう。
③ 子どもの意志を確認して、一緒に考える、またはその姿勢を示す
話を聞き落ち着いたところで、子どもの意志を確認して、今後の対応を一緒に考えましょう。
- 「パパとママは、先生に連絡をしたいと思うけど、○○はどうしたい?」
- 「カウンセラーの先生に話したらきっと気持ちがラクになると思うけど、どう?」
- 「もう一度同じことをされたときの対策を一緒に考えよう」
- 「もし、学校を休みたいなら、休んでもいいと思っているよ」
傷付いた子どもにとって一番うれしいのは、「受け入れてくれる。力になってくれる存在がいる」ということだと思います。
親としてそういうメッセージを出し続けることが、直接的にも間接的にも、子どもが立ち直るのを支えていくのではないでしょうか。
どの対応においても子どものペースが大切なので、子どもが全く何も言わない、あまりに思い詰めている、もしくは親の感情が邪魔して上手く対応できないなどの場合は、専門家を頼るなどして、無理なく進めていくことが大切です。
まずは子どもの気持ちに寄り添う
いじめ被害にあった子は、まず自分のことを責めます。
多くの場合、いじめられた子に原因があることはないのですが、「自分が悪かったから?」という思いを抱えているので、いじめのことを親や先生に言うのはとても難しいのです。(詳しくは『思春期のいじめ①・②』を参照)
その気持ちを理解した上で、親として対応することが求められます。
親が主導する対応ではなく、子ども主導の対応を心掛けることで、状況はきっと変わります。
まずは子どもの気持ちに寄り添うことが、元気を取り戻す第一歩になるのだと思います。
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