皆さん、こんにちは。
人は、皆赤ちゃんで生まれてきて、養育者に育てられ、成長して大人になります。
大人になり、愛する相手と結婚し、今度は自分が親になって、子どもを育てていく人もたくさんいます。
この、「子」から「親」になるという人生の流れの中で、子どもの成長の目的と親の子育ての目的には、大きな違いがあります。
それぞれの目的をはっきりさせておくと、立場が変わった時にびっくりすることなく、新しい目的を自然に受け止められるようになります。
赤ちゃんの目的とは?
生まれたばかりの赤ちゃんは、自分では何もできず、100%人に依存しなければ生きていけません。
赤ちゃんにとって一番の学習課題は、「自分を育ててくれる人を信頼すること」です。
そのためには、「自分の望みを十分に叶えてもらう」必要があります。
だから、赤ちゃんの目的は「自分の望みを訴えること=泣くこと」です。
そう考えると、乳幼児期の子どもが泣いたり、ギャーギャーわめいたり、駄々をこねるのは当然のことで、自分の目的に忠実なだけということが分かりますね。
そして、親や身近な大人に対して信頼を獲得することができたら、今度は新しい目的ができてきます。
それは、ざっくり言うと「自分らしさの獲得」です。
「自分らしさの獲得」は、自立して、社会に出て、自分を守り生きていくうえでとても重要になってきます。
この目的を達成させるために、子どもたちは思春期や反抗期を通して様々な努力をします。
では、次に子どもを育てる側のことを考えてみましょう。
親(母親)の目的とは?
子育てをしている母親の目的とは一体何でしょう。
まずは、子どもの「安全を守ること」ですね。
「子どもが無事に成長し、ひとり立ちをするまで、子どもを守っていくこと」、動物の世界と同じように、ここまでは100%親主導です。
赤ちゃんの頃は、ほとんどの親が自然にできています。
小学校に上がり、子どもたちが自分で安全を確保できるようになってくると、今度は「子どもが将来幸せになれるように」という新たな目的を掲げ始めます。
子どもの幸せを願って、習い事やスポーツをやらせたり、勉強をさせたり、興味のあることをサポートし始めます。
こういう目的を持つことは親としては間違っていません。
しかし、子どもがある程度成長して思春期くらいになり「自分らしさ」を追求し始めると、「子どもの幸せ」=「親の理想」という間違った思い込みを持ち、「子どもを親の理想通りに育てよう」という歪んだ目的を持ち始めてしまう親御さんがいます。
この頃には子ども達も精神的に自立し始め、親の目的は「子どもを社会へ返すこと=子離れ」へとシフトしていくはずなのですが、子どもが社会に出て自分らしく生きていこうとすることを無意識の内に邪魔してしまうケースがあります。
こういう親御さんは、子どもの自分らしさよりも、親の経験や世間体、一般論・理想論を優先してしまう傾向があります。
- 私が苦手で苦労したから、子どもには同じ思いをさせられない。
- ただ親の言うことを聞いていればいい。
- 大人になったら我慢も必要だから、もうちょっと頑張れ。
- これができるまで、部屋から出てはいけない。
- 強くなるために、武道の習い事をしなさい。
- どうしてこんな簡単なことができないの!本当にダメね。
- あの子とは遊んではいけません。
- そんなゲームばっかりやってないで、もっと勉強しなさい。
- お前は将来〇〇になるんだから、そんなくだらないこと(子どもの趣味)をするな!
- これができたら、ご褒美に〇〇を買ってあげる。
- あの学校(有名校)に入るために、これをやりなさい。
これらのフレーズに共通しているのは、子どもの気持ちがまったく汲まれていないということですね。
子どもの意思そっちのけで、親の理想を押し付けているだけです。
これまで私が出会ったケースの中には、親が自分の理想を押し付けることに躍起になって、子どもの「自分らしさ」を何かの呪いだと信じ込み、嫌がる我が子を無理やりお祓いに連れて行ったという方もいました。
しかし、こういった親御さんもまた、何かしらの要因で自分らしさを獲得することができなかったり、自分で不安を抱えられなかったり、精神的に未成熟なところを持っていたりと、大変苦労していることがあるのです。
足並みをそろえる
このように子どもの目的と親の目的が、知らず知らずの内にかけ離れていくことがあります。
この双方の目的が、完全に一致せずとも、せめて同じ方向を向いていると、そこまで大きな問題が起こらずに子ども達が健全な巣立ちを迎えて行けるのだと思います。
本来親が子どもの目的を優先させることが自然なのですが、無意識のうちに自分の目的を優先させてしまう親御さんがいることも事実です。
そういった方は、子どもの目的を優先させられない理由に目を向ける必要があるのかもしれません。
次回は、「自分らしさ」を獲得できなかった子どもたちについて解説したいと思います。
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