皆さん、こんにちは。
ウィズコロナで今までとは違う生活様式が求められる中、ご家庭での子ども達の安全を守ってくださっているご家族の皆様、学校での生活や教育を支えてくださっている教育関係者の皆様、医療の最前線でウイルスと戦ってくださっている医療関係者の皆様、本当にありがとうございます。
新型コロナウイルスにより私たちの日常生活は急激に変化していて、大人も子どもも、それぞれのストレスを感じていることだと思います。
先が見えない不安と長引くストレスで、疲れも見え始めてきているかもしれません。
そんな状況で、子ども達はストレスを上手く言葉にできずに、サインとして表現することがあります。
今回は、『コロナ渦における子ども達のストレスサインとその対処』について改めて考えてみたいと思います。
未就学児~小学生低学年
この頃の子どもはまだ母親と離れることに不安や恐怖を感じやすく(分離不安)、母親への依存も強い時期です。
困ったことはお母さんが何とかしてくれると思っているので、不安やストレスを母親との関係で解消しようとして母親への強い執着という形でサインを出すことがあります。
- 赤ちゃん返り
- おねしょ
- 後追い
- 母親と離れられないことからくる登園・登校しぶり
- 癇癪・イライラ・すぐ泣く(感情のコントロールができない)
- 暴力的になる・物を投げる・かみつく
- 嘘をつく など
それでも解消されなかったストレスは身体症状として出てくることがあります。
- 腹痛・頭痛
- 微熱が続く
- 気持ち悪くなる
- 爪を噛む
- 笑わなくなる
- 外に出たがらなくなる・友達と遊びたがらない など
対処の際のポイント
この時期の子ども達の不安やストレスへの対処として押さえておくべきポイントは、「お母さんは大丈夫!」と伝えることです。
コロナウイルスの影響で子ども達が最も恐れているのは、「コロナでママが死んじゃうかもしれない」ということです。
母子分離ができていないため、ママが死ぬことは自分が死ぬことでもあるので、不安で片時も離れられない、といったサインを出していることが多いのです。
「ママは大丈夫よ!」と伝えたうえで、子ども達が訴えようとしている気持ちを汲み取って、言葉にしてあげると落ち着くでしょう。
「心配してくれてありがとね。見えなくてもちゃんといるから大丈夫だよ。」
「気持ちがスッキリできずに、イライラしているんだね。」
「不安なんだね。不安になってもいいんだよ。」
「お腹痛いのつらいよね。」
「お友達に会えなくて、寂しいね。」
「今日はいつもと少し違うように見えるけど、何か心配なことがあるの?」という具合です。
マスクや暑さなどがストレスの原因になっている場合は、それを改善させることで対処できますが、自分ではどうにもならないことは、一人で抱えずに外に出すことが必要です。
幼い子ども達は、自分の気持ちを外に出すことが上手くできないので、泣き叫んだり、暴力的になったり、物を投げたり、かみつくことで外に出そうとしているわけですね。
そのままでは上手く行かないので、「代わりに言葉にして外に出してあげる」ということが理想的な対処法です。
いずれお母さんがやってくれたことを学び取り、自分で自分の気持ちを言葉にできるようになると、少しずつ落ち着いていきます。
小学生高学年・中学生・高校生・大学生(思春期~青年期前期)
思春期に入ると、親離れを目指して親との距離を取ろうとし、自立に向かって「自分探し」を始めます。
しかし、様々な要因でこのプロセスが妨げられると、子ども達は色々なストレスサインを出し始めることがあります。
最近では、コロナウイルスの影響が思春期の子ども達の自立へ向かうプロセスを妨げる大きな要因になっていることが考えられます。
- 無気力・やる気のなさ
- テストの点数が大幅に落ちる
- 会話が減る
- 笑顔が減る
- 自分の部屋にとじこもる
- 登校しぶり
- スマホ・SNS・ゲームから離れられない
- 頭痛・腹痛
- 微熱が続く
- 気分が悪くなる・嘔吐
- 自分の体を傷つける(リストカット・髪を抜くなど)
- 食欲の変化(食べ過ぎる・食べない)
- いつもイライラしている
- 突然反抗的・暴力的になる
- 突然怒る・泣く(感情のコントロールができない) など
学生に最も顕著に表れているサインが、ヤル気の低下、モチベーションの低下、無気力です。
- 学校行事や部活の大会がのきなみ中止になり、学校に行く楽しみや張り合いが感じられなくなっていて、そのせいで勉強に対してもやる気が起きず、好きなことでさえも集中できない。
- 何に対しても意欲が持てず、家にいてゲームをするだけの生活になっている。
- コロナウイルスの影響で目標や夢が潰れたり、決まっていた進路や就職がダメになったりして、将来に対する希望が持てない。
- やっとの思いで大学に進学したのに学校に行けず、友達にも会えず、バイトも出来ず、孤独感を感じていて、何のために進学したのか分からない。
対応の際のポイント
子ども達が必死で親から離れ、自立しようともがいている思春期の背景を考慮して、親主導のサポートから子どもの気持ちを重視した子ども主導のサポートへと切り替えていかなければなりません。
本来ならこの頃には、親よりも同性の友達の存在が大きくなってくるので、自立のプロセスがスムーズだと、親としてできることはもうほとんどありません。
しかし、思春期の親子関係はよく「いないいないばあっ!」だと言われるように、親から離れたい気持ち(いないいない)とまだまだ甘えたい気持ち(ばあっ!)が入り混じっている時期です。
加えて、コロナウイルスの影響で不安や心配が大きくなっている現状では、いつも以上に甘えを求めて親を頼ってくることももちろん想定されます。
その甘えが上手く表現できない場合に、代わりにストレスサインで表現することがあるのです。
年齢に関わらず、どんなストレスサインが出ても共通して言えることは、「お母さんとお父さんはいつでもお前の味方だよ。何かあったら、いつでも話をしてね。」と伝え続けることがとても重要です。
この一言で、「自分は受け入れてもらえている」と感じることができます。
そのうえで、話をよく聞いて、対応してあげてください。
思春期に入ると、子ども達が最も恐れることは、「親から見放されること」に移行していきます。
親が自分を愛していない、親が自分に興味を持っていない、親が自分のことをどうでもいいと思っている、などと感じることが最も怖いので、そんな気配を感じ取った子は、見放されまいと逆に親にどんどん執着していき、親から離れることができなくなってしまいます。
どんなに親子関係が悪かろうが、話を聞いていなかろうが、毎日ギスギスしていようが、子どもに興味を持ち、「適度にかまう」ことを決して忘れないでください。(その際は、もちろん子ども主導で、ウザがられない程度にお願いします。)
要は、基本的には見守り、応援する姿勢で、たまに声を掛け、必要とされた時はそれに応えるだけで充分だということですね。
しかし中には、自分の気持ちを相談できる相手がおらず、発言できる場所もないと感じて、追い詰められている子もいます。
そのような場合は深刻なケースに発展することもあるので、家庭内では対処しきれないと判断した場合は、放置せずに、できるだけ早めに学校や医療機関、専門家に相談してください。
子どもが一番必要としているものは?
年齢に関わらず、子ども達が一番必要としているのは、「親子の絆」です。
現状のようなストレスフルで苦しい局面こそ、この「親子の絆」が試されているのではないか、と感じます。
もしかしたら、この状況は親と子の関係性を振り返る良いチャンスなのかもしれませんね。
家族の関係を風通しの良いものにして、このコロナ渦を無事に乗り越えてゆけるように応援しています。
- 投稿タグ
- コロナ禍, ストレスマネージメント, 幼児期, 思春期, 親子関係
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